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今回の移転を振り返って

オフィス紹介
パタン・ランゲージを活用したオフィス作り
今回の移転を振り返って

プログラムを組むことが「仕事の本質」ではない

当社は、現在の場所への本社移転に際して、「IT業界に席を置くものとしてクリイエイティブな仕事のできるオフィス環境を作りたい」という原初的な意向を持っていました。これをさらに具体的に説明しますと、

  1. プロジェクトのチームワークと各メンバーの集中力を高められること。
  2. なごやかな雰囲気でコミュニケーションができ、リラックスして仕事に取り組めること。
  3. 個人情報保護法に対応したセキュリティ環境を持つこと。

です。

移転前のオフィスでは、社員の配置はいわゆる島型に形成しており、当時はパソコンのディスプレイも大きく、机がせまい上に、社員同士の距離ばかりが大きくて、コミュニケーションが活発にならなかったのです。また、現在の社会情勢から考えれば、島型にチームを形成した場合は、パソコンのディスプレイが無防備で、お客様の情報の管理に問題が生じる可能性もありました。

試行錯誤の中で、目の前にパーティションを配してチームを形成したときに、集中力が高まった、という意見が多かったので、今回の移転では、パーティションを利用した、通路状のボックス型のチーム形成を前提にデザインを依頼したのです。

ボックス型のチーム形成は、ちょっとしたチーム間の打ち合わせや意見交換などの際にも効率がよく、コミュニケーションも闊達になりました。島型のチーム形成には、閉塞感がありました。特に、席の背後を人が通るときには、島同士がせまく感じましたので、通路状のボックス型チーム形成をするにあたっては、社員の席と席の間の距離感には非常に気を使い、コマニーさんとも綿密な意見交換を繰り返しました。

結果として、通路間160センチという数字が弾き出されましたが、通路の両サイドに人が座っていても、その後ろを余裕をもって人が移動することができ、社員それぞれのペースや作業の妨げが解消されました。

この通路間160センチという数字は、実際は非常に感覚的でありながら、まさに「これしかない」という絶妙な数値で、これが160センチ以上になると距離が開きすぎて、社員同士の突発的なミーティングなどには支障をきたすのです。

現在は、この通路状のボックス型チームで、朝と夕に定例のミーティングを行い、また業務中にも緊急の打ち合わせなどを随時行っていますが、これが自然と日常の業務の中で行われるということは、個とチームの切り替えがスピーディかつスムーズにできるようになった結果です。

居心地の良さ

メーカーにおいては工場が資産ですが、我々にとってはオフィスが資産と言えます。それで、社員一人ひとりが気持ちよく働けて、十分に力量を発揮できるオフィスを作りたい、という考えのもと、相当のこだわりをもって臨みました。
結局、働く環境の快適さというものは、先にオフィス移転に際して挙げたニーズの通り、リラックスできることと集中できることではないかと考えています。その具体的取り組みとしては、

  • 土足禁止。(スリッパ、裸足によるリラックス効果とクリーンなオフィス)
  • カジュアルな服装。(良識の範囲内で)
  • 植木の配置。(緑のある空間)
  • リフレッシュ・ルーム。(冷蔵庫およびコーヒー、紅茶など)

などが挙げられますが、これらは、リラックスして仕事に取り組め、自然にコミュニケーションがとれるような 「居心地の良い環境」を目指したものです。

セキュリティ対策

オフィスの移転およびデザインにあたっては、快適さや社員の能率の向上以外に、個人情報保護法に対応したセキュリティ環境のあるオフィス作りを課題にしました。当社は今年、正式にPマークを取得いたしましたが、一般にPマークを取得するために、あらためてオフィスの改築が必要な企業が多いようですが、当社は移転前から、タイミング的にもPマーク取得を目的としてい ましたので、Pマーク取得に準拠したオフィスデザインをすることができました。具体的には、

  • 警備保障会社の採択。
  • オフィスの入り口ドアに鍵を設け、入出は各個人用カードキーにより開閉。
  • サーバ室および書庫用に、鍵のかかる部屋を用意。
  • 入り口からの動線を社員用と訪問者用に分ける。
  • チーム別にパーティションで区切ることにより、他チームの情報から聴覚と視線を外す。
  • 全社員に個別の鍵のかかるロッカーを用意。

などのほかに、プリンタやコピー機に囲いを設けて導線からの情報への介入をガードする、などすべて具体化することができました。結果として、今回のPマーク取得には、オフィスデザインの貢献が大きいと考えています。

パタン・ランゲージを活用してみて

現オフィスは、日本で最初の『パタン・ランゲージ』をオフィスデザインに採用したわけですが、『パタン・ランゲージ』というコンセプトや手法については、最初はあまりピンとこない点もありました。しかし、感覚としては非常に捉えやすく、またオフィスデザイナーとの意見交換の際の共通言語として機能したと感じています。

結果として、個々のパタン・ランゲージの理解は、オフィスが完成し、そこに身を置いてみて改めて、体感し理解できたと思います。そして感想としては、非常に心地よく、成功したという手ごたえを感じています。

さらなる「場」の改良

現オフィスに移転して、すでに1年9ヶ月が経過しており、快適さにも、機能性にも満足しています。また社員の意識もあって、清潔感も保たれています。今後の課題としては、社員のリラックスと作業性を高めるためのコミュニケーションの場作りを目的として設けたリフレッシュルームの改良が挙げられます。

リフレッシュルームは、喫煙可能なスペースになっており、またオフィスに稀な取り組みとして畳部屋となっています。このリフレッシュルームが、二つの理由から改善を迫られています。一つは、喫煙者同士もしくは非喫煙者同士のコミュニケーションはどんどん濃くなる一方で、喫煙者と非喫煙者のコミュニケーションが断絶してしまうという事態が明らかに生じています。これはさらに、喫煙するAチームの社員と、喫煙するBチームの社員は情報を共有し合っているのに、喫煙するAチームの社員と喫煙しないAチームの社員が意思の疎通が希薄になるという現象が生じ、これはチーム形成に支障があるのです。今後、リフレッシュルームを禁煙にすれば、今度は喫煙者からの不満が生じることが予想されますが、それはまた新たな課題として対面していく必要があるでしょう。

リフレッシュルーム再考のもう一つの理由は、それが“快適過ぎる”という問題でした。リラックスしすぎて、若干だらけたムードが生じました。リフレッシュの時間が長くなり、多い時では、10人近い社員が、リフレッシュルームにこもって、喫煙しながら意見交換や議論をすると、衛生上も、他の社員への影響も良くありません。禁煙に成功した人が、ふたたびスモーカーに戻ったこともショックでした。さらに、畳が快適で、横になったりする社員も現れました。かつては残業があったので、休憩も必要でしたが、今は個人のスケジュール管理能力が高まっているので、残業はほとんどありません。

現在当社ではフレックスタイム制を導入していますが、これは結局、自己管理ができる人だけが使いこなせる制度なのです。自由や快適さが高まることと企業文化や社風の折り合いをつけることも、リフレッシュルームの問題と深くかかわるテーマです。オンオフのメリハリを保つことが大切だと考えています。

ほかには、電話の問題があります。今は総務が一括して電話を受け、各担当社員にまわすようにしていますが、パーティションが、個人が集中できる環境を形成している一方で、社員の在席の状態が把握できない原因になっており、都度総務が席まで確認に行かなくてはならなくなっています。この辺りの改善も必要と感じています。重複になりますが、当社では、リラックスと集中力、そして個とチームの能力発揮が求められています。より質の高いオフィスの実現に向けて、今後も試行錯誤を続けながら、社員が力量を最大限に発揮できる環境、つまり当社の資本である快適なオフィス作りを、コマニーさんとともに追求していきたいと考えています。

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